トウネンってどんな鳥?名前の由来など

砂浜でトウネン5羽と出会いました。運よくかなり近くまで来てくれたので動画も撮ってみました。高いところから見下ろすと、砂の中にくちばしをブスブスと突き刺しているのがわかりますね。途中(10秒あたり)で何かを引っ張り出したように見えますが、残念ながらよくわかりません。

トウネンってどんな鳥?

トウネンは体長約15cmでスズメと同じくらいの大きさのシギの仲間です。

渡り鳥として春(5月頃)と秋(9月頃)に主に海岸の砂浜で見られます。夏にシベリアなどで繁殖し、冬にオーストラリアなどで越冬するというサイクルで南北に渡りをしますが、その途中で日本の海岸にも立ち寄るため「旅鳥(たびどり)」に分類されます。小さな体で何千キロも渡りをするとは本当に驚きです。日本の海岸も渡りをする途中で休憩や栄養補給をするためにとても重要な場所になっています。

群れで行動し、数羽から数十羽で行動していることが多いですが、時には数百羽から千羽以上の群れになることもあります。この時は5羽と小さな群れでしたが、数日前には別の場所で400羽以上観察できました。砂浜でくちばしを下に向けたまませわしなく歩き回って、小さな甲殻類や貝類、昆虫類などを食べます。

旅鳥として日本で観察されるシギの仲間では結構ポピュラーな種類だと思います。

トウネンの名前の由来

シギの仲間のなかでも体が小さく、「その年生まれの子供のように小さい」ことから「当年=トウネン」と名付けられたそうです。

英語名はRufous-necked Stintで、Rufous-necked(赤褐色の頸)は夏羽の色を表しています。上の動画のトウネンは、既に夏羽から冬羽に換羽が進んでいるため、赤褐色ではなく灰色に見えますね。
Stintは小型のシギの仲間を意味する単語で、小さいこと表す単語を語源としているそうです。

トウネンの仲間

日本で見られるトウネンと名の付く鳥は、トウネンのほかにオジロトウネン、ヨーロッパトウネンの2種がいます。どちらもトウネンと同じく体長は14センチほどで、姿はトウネンと似ていて見分けるのは難しいです。

ヨーロッパトウネンは数少ない旅鳥として、トウネンの群れなどに1羽や数羽で混じって行動するそうです。もしかしたら私がこれまで見たトウネンの群れに紛れていた?

オジロトウネンは旅鳥または冬鳥として、1羽や数羽で行動します。トウネンとは違って池、沼地などの淡水の湿地にいることが多いようです。下の写真が私が唯一持っているオジロトウネンの写真です。ボヤボヤの写真で申し訳ないのですが、これには理由がありまして。トウネンだと思って記録用に適当に撮ったのですが、家に帰って見返していると何やら違和感が。足が暗黄緑色なことでトウネンと区別できるとのこと(トウネンの足は黒色)。いつかまた出会った時には良い写真を撮れるようリベンジしたい。

オジロトウネン。トウネンだと思って適当に写真を撮ったが、家に帰って写真を見返しているときにオジロトウネンだと気付いた。
2021年11月伊豆沼(埼玉県川越市)

参考文献:
「山溪ハンディ図鑑7 新版 日本の野鳥」、2013、叶内 拓哉、 山と渓谷社
「野鳥の名前: 名前の由来と語源」、2019、安部 直哉・叶内 拓哉著、山と渓谷社


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