ため池でカイツブリの巣を見つけました。こんな時期に抱卵しているものなのか?と少し疑問に思ったので調べてみました。
カイツブリの繁殖期は長いようだ
いくつかの資料を眺めてみると、産卵期が5-7月1)、3月-10月に繁殖2)、繁殖期は4月から9月3)等とあり、他の鳥と比べて比較的長く繁殖するようです。また、10月から2月にかけての繁殖例についての報告4)もありました。
「カイツブリは気候が比較的穏かで,安全で,造巣場所があり,食物が豊富であることなどの好条件が揃えば,秋冬期にも繁殖すると考えられる」4)とあるように、条件によっては秋以降の遅い時期にも繁殖をすることもあるようです。
また、産卵してから孵化までの抱卵期間は約3週間だそうです。
1)「日本鳥類大図鑑2」, 清棲幸保,1952, 講談社
2)「日本の鳥」, 内田清之助,1952,創元社
3)「大阪府下のカイツブリの繁殖」, 大阪自然史博物館<http://www.mus-nh.city.osaka.jp/wada/Breed/Tachybaptus.html>
4)「カイツブリの秋冬期繁殖」, 福田 道雄, 1986, 日本鳥類学会誌, 35 (2-3), 81-82
同じ場所でも年によってちがう
今回、カイツブリが抱卵している姿を見つけたのと同じため池での、過去のカイツブリの観察記録を見返してみると、年によって孵化したと思われる時期は6月-8月でバラつきがあるように感じます。
- 2021年8月28日:少し育ったヒナに給餌
- 2019年6月24日:浮巣の上で生まれたてのヒナ
- 2016年7月31日:巣を離れて親鳥の背中
水草の成長度合いと関係がある?
カイツブリの巣にはいくつかのタイプがあり、ヨシなどの浅い場所に生える植物の茂みに作るもの、水面に垂れた樹木の枝を土台としたもの、開水面で水草を土台にしたもの、などがあります。
今回観察しているため池では夏になると水草のヒシが水面を覆いつくすのですが、思い返してみると今年はヒシの葉が水面を覆うのが遅かったように思います。このため池では、カイツブリはいつも開水面に作るタイプの巣で子育てをしているので、カイツブリの繁殖の時期のバラつきは、水草の成長度合いと関係しているのかもしれません。
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